水天一碧を泳ぐ

【 夜明け前 】

母方の祖父母の家は"田舎"と呼ぶのに相応しい所にある。

飛行機に乗り海を越え、乗り物酔いなんて滅多にしない私が苦しむほどの恐ろしい獣道を、一時間も車に揺さぶられなければならない。

もはや、ちょっとした海外旅行の気分だ。
実際に海外に行った経験はないけれど。

他に民家はほとんど無くて、家の前には一面、畑と田んぼが広がっている。
そして、ショッピングモールも無ければ、カラオケも、ファミレスも、コンビニも無い。

自然に溢れた……と言えば聞こえは良いけれど、十七歳になったばかりの女子高生にとっては、あまり魅力的な場所だとは言い難い。