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この町に帰ってくるのは何年ぶりだろうか。高校を卒業してから町を離れて一人暮らしを始めた。専門学校時代は正月ぐらいは帰っていたのだけれど、就職後は忙しくてそれもしなくなっていた。
今思えば、何故実家にさえ帰らず仕事に打ち込んだのか分からない。
帰ろうと思えば帰れた。
だけど帰らなかった。
何となく、帰りたくなかったのもある。青春時代の濃厚な時間が染み込んだ町が、自分の知っている町の変わった姿を見たくなかったのかもしれない。
その姿を見てしまうと、無性に寂しくなるから。
訳もなく哀しくなるから。
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