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駅に着き、電車を降りる。駅のホームはあまり変わっていなかったが、それでも自分の知っている駅では無い気がした。
「あ、弥生。五年ぶりのお帰り」
「母さん。わざわざ迎えに来てくれたの?」
五年ぶりに帰ってきた息子に対して、冷たくお帰りを言うとは。我が母らしいと言えばらしいのだけれど、それはそれで少し悲しくなる。
「迎えには来たけど、アンタのじゃないわよ。陸に顔を見せない息子を迎えに来る程、わたしゃ優しくない」
「冷たい母だね」
「冷たいアンタの母親さね」
変なところ似たのかな。これっぽっちも嬉しくないけど。
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