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14歳になり、お父さんは何者かに借金を背負わされ、お母さんと一緒に自殺するしかなかったとリーダーから聞いた。
初めての仕事は15歳。初めて殺し屋という仕事をした。
最初はリーダーに教えてもらいながら。罪悪感でいっぱいだった。怖くて怖くて、毎日嗚咽を漏らしながら泣いていた。
だけど、親の借金を肩代わりしてくれたリーダーに金を返さないといけない。育ててくれた恩を返さないといけない。俺は、殺し屋の仕事を続けるしかなかった。
「…紀野くん? どうしたの…?」
ゆっくりと現実に引き戻される。
「あぁ、何でもないよ。」
「何でもないなんて、顔してないよ。…だって、紀野くん泣いてる……」
そっと指で頬に触れる。姫倉さんが言ったように俺は泣いていた。
なんで…。何年ぶりだろうか。泣いたのは。
「…はい、これどうぞ!」
姫倉さんは鞄の中から何かを出し、差し出してくる。
ミルクココア味の飴。
「紀野くん、甘いの嫌いかな?」
そう言って、少し慌てている姫倉さんに、少し笑いが込み上げてくる。
「いや、ありがとう。じゃあ、また月曜日に」
そう言って、俺は公園を後にした。
少し、姫倉結羅という人物について調べる必要があるな…。
大きく深呼吸をして、一歩前進した。
俺の眠っていた感情が少しずつ目覚め始めていた。
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