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「ほらほら! 口を動かさずに身体を動かせぃ!!」
見た目からして体育教師だと分かる、ごつい体格の中年男性が、大きな声で呼び掛けている。
引率の教師は四人。
体育教師の彼、加藤源太郎先生。38歳、独身。
本人曰く「青年であって中年ではない!」
科学教師、田中……先生。
すごく存在感が薄く、中肉中背、眼鏡をかけている事以外は記憶に残ってない。汗
教頭の井頭藤堂先生。56歳。
彼は後から来る事になっている。どちらが苗字か分からないような名前だが、それはきっと神主を兼ねているからなのだろう。
そして私、宮崎葵。
教師ではないが、保健医で生徒達の健康管理の為に参加している――訂正、させられている。女生徒の参加が皆無なら、私が参加する必要はなかったからだ。
名前だけ聞いて期待されても困るが、あの女優とは似ても似つかない。そして年齢など口が裂けても言えないが、彼女よりも年上だという事だけ言っておこう。
生徒達は加藤先生の言葉に嫌そうな顔をしながらも、自分の荷物を持ち、校舎へと歩いていく。
先導は勿論、加藤先生だ。
校舎は木造二階建てだが、一階しか使用する予定はない。なので、事前にそこだけは、私達以外の教師が掃除にきていた。それくらいはして貰わないと……。
校舎に冷房はないが、電気に水道、ガスは、この林間学校の期間だけ使えるようにして貰っている。たまにこうした行事や、部活動の合宿に利用する事があるらしく、定期的に整備はされているらしい。
用務員室には小さいながらも風呂場があり、湯舟は使えないが、後付けのシャワーが利用できるようになっていた。
但し、狭くて一度に入るのは、二、三人が限度らしい。
シャワーの使用時間を決める必要があるかも知れない。
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