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「それは…ッ」
「昨日の夜は
あんなに素直だったのに」
引き締まった形の良い顎を持ち上げてクスリと笑う。フィディオの顔の近さにマークは頬を赤らめてごくりと息を飲んだ。
「ご褒美はあげるよ?」
口元を緩めたままフィディオはマークの赤い唇をそっと撫でる。冷たい親指に直に唇を押されてマークはぎゅ、と目を瞑る。
「ふぃでぃ…おの…馬鹿」
ハハハと笑った声を背中にマークはとぼとぼと歩き出す。照れながら風船を貰いに行く彼をフィディオが満面の笑みで見送ったのは言うまでもない。
(ご、ご褒美…)
(そう焦るなって)
end.
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