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「ちょっと、梓斗聞いてる?今年こそ気合い入れないとダメじゃん」
「あ?別に、僕が頑張ったところで結果なんか目に見えてるだろ」
素っ気ない態度に隣の律はため息を吐く。
そう、今日はパートナーの選考会の日。普通のトナカイならそわそわしてるんだろう。
「ちょっとくらい緊張感持てよー。サンタいねえとソリも引けなくて毎日が暇なんだからさ」
「あーはいはい。」
律は去年の選考会でちゃっかり指名されてパートナーを見付け、今年のクリスマスはソリを引く予定らしい。
そして僕はと言うと。
この恥ずかしい赤っ鼻の容姿のせいで指名などあるはずもなくて。
だから期待なんかしていない。
するだけ無駄だ。
サンタだって自分に威厳を持ちたいから、体力があって見た目もほどよい有能なトナカイを求めてくる。
「とにかく!そのだるーって感じの顔は表に出さないこと!
…大体さ、今は実力が物を言う時代だからそんなに見た目ばっかりこだわるサンタなんていないと思うよ」
だからもっと自身持ってよ、と切なそうな表情をして律は言葉を付け足した。
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