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「じゃあ、皆そろったし、朝御飯にしましょうか」 と真里さんが言う。 そして、皆で 「いただきます」 と言い、御飯を食べ始める。 僕の正面に座っているのが、さっき僕に、早くしろよ、と言ってきた、戸賀啓吾(とが けいご)だ。 年齢は14歳。今年で中学三年生だ。 その隣に座っているのが、安藤紗綺(あんどう さき)。 年齢は啓吾と同じで、中学も同じだ。もちろん学年も。 啓吾は紗綺のことが好きみたいだ。 本人から聞いたわけではないが、紗綺のこととなると態度が豹変する。 まぁ、要するに分かりやすい奴ってことだ。 紗綺はそのことには全く気付いていない。 今だって、ほら、紗綺が 「卵焼きあげるよ」 と言って、啓吾の皿に入れている。 啓吾は口をパクパクさせ、 「あ、あり、あああ、ありがとう」 と赤くなって、しどろもどろになっている。 それでも紗綺は全く気付いていない。 啓吾はホントに分かりやすい。 紗綺は物凄く鈍感なのだ。
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