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リビングに着くと、足に軽い衝撃が走った。 「英斗にぃ、おはよう」 そう言って、僕の足にしがみついているこの女の子は伊藤千菜(いとう ちな)。 年齢は7歳、今年で小学二年生だ。 僕は千菜を抱き抱えると、 「おはよう、千菜。お前はホントに可愛いな~。翔太とは大違いだ」 そう言って千菜に頬擦りしながら、翔太に嫌みったらしい視線を送る。 翔太は、ふんっとそっぽを向いた。 可愛くない奴。 千菜は、 「えへへっ」 と、嬉しそうに笑っている。 ホントに可愛い。 「おい、英斗。早くしろよ。飯が冷めるだろ」 不意に声をかけられた。 僕は千菜を床に降ろし、料理が並べてあるテーブルへ向かい、 「悪い悪い」 と言いながら、椅子に座った。
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