1.星待(プロローグ)

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繋いだ右手。 肩に伝わる温度。 ほつれた髪の毛が首元に当たって、少しこそばゆかった。 二人の間に声は無く。 ただ時折、強く手を握られる事だけが、会話だった。 夏水仙の香り。 見上げ続ける夜空には、白に輝く無数の星々が浮かんでいた。 願いを掛ける白線を、ずっと、待っていた。 星を、待っていた――
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