まさかの彼女は……

5/24
前へ
/880ページ
次へ
「全く……次から気をつけなさい」 「はい……すいませんっした」  必死に走って音楽の教室に向かったが……残念ながら授業に遅刻してしまった。担当の教師に注意を受けて、俺は席に向かう。  戻る最中、俺の頭の中は先程の美少女の事でいっぱいになっていた。 (てか、さっきの子可愛かったな……//)  これが恋って奴か……凄く苦しい。初体験っていうのもあるからかな。 「智喜? そんなにヤバいのか? 顔がニヤニヤしてるぞ」  後ろから再び俊哉が話し掛けてきた。普通は出席番号順だが、音楽の授業は好きな場所で受けて良い。 「トシ……俺、初恋かも。胸がバクバクしている。これが恋なんだよな」 「ふーん。普通なら好きになる位なら1つや2つは有ると思うんだけどな。……お前は純情君か!」  ぶっちゃけた話、俺は女の子に興味を持ったことが無い……。理由は特にない。 「うるせぇ。てかトシの力でなんとかならないか? 頼むよ~!」 「……ったく、わかったわかった。たしか隣は二組だよな……渉が居たっけ。後で、渉に調査依頼だすから」 「渉ってあの神崎渉か!?」  渉って言うのはトシの友達。本名は神崎渉(カンザキワタル)。顔がアイドル級の美形、更にスポーツ万能でチャラい……。  噂では、気に入った女は必ず自分の物にするとか。  良い噂は聞かない。いわゆる問題児ってレッテルを貼られている。 「大丈夫。アイツ良い奴だし」 「本当かよ……まじで頼んだぞ!」  携帯を弄りながらトシはシブシブと返事をする。 「へいへい。後で……ジュース一本だからな!」 「ありがとー! 流石イケメン! トシ様! 日本一!」 「おだでても変わらんぞ」  こうして……普段通りに音楽の授業が進んでいくのであった。
/880ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7795人が本棚に入れています
本棚に追加