すれ違う愛

5/18
前へ
/18ページ
次へ
それからしばらくたって中間テストが終わり、みんなが少しほっとしているころ。 麻耶がいつも通り歩いて登校していると、前の方を歩いていた男子が石につまずいて転んだ。 その男子は「いてて…」と言いながら立ち上がり、その場で服をはたいていた。 「あの…大丈夫ですか?」 気になって麻耶が声をかけると、それは友哉であった。 友哉は麻耶を見ると恥ずかしそうにはにかんだ。 「あはは。三原さんに見られたか。はずかし」 「気をつけないとだめだよ」 麻耶は少し笑ってそう言って、それから落ちていた友哉のカバンを拾って渡す。 「ありがとう。ほんと優しいね、三原さんは。俺も見習いたいよ」 「いいよ。私なんか全然優しくないよ」 それから二人はたわいもない話をしながら、学校へと歩いて行った。 その途中でふと空を見上げた麻耶には、空に浮かぶ月が、なぜか白く儚く見えた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加