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それからしばらくたって中間テストが終わり、みんなが少しほっとしているころ。
麻耶がいつも通り歩いて登校していると、前の方を歩いていた男子が石につまずいて転んだ。
その男子は「いてて…」と言いながら立ち上がり、その場で服をはたいていた。
「あの…大丈夫ですか?」
気になって麻耶が声をかけると、それは友哉であった。
友哉は麻耶を見ると恥ずかしそうにはにかんだ。
「あはは。三原さんに見られたか。はずかし」
「気をつけないとだめだよ」
麻耶は少し笑ってそう言って、それから落ちていた友哉のカバンを拾って渡す。
「ありがとう。ほんと優しいね、三原さんは。俺も見習いたいよ」
「いいよ。私なんか全然優しくないよ」
それから二人はたわいもない話をしながら、学校へと歩いて行った。
その途中でふと空を見上げた麻耶には、空に浮かぶ月が、なぜか白く儚く見えた。
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