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「ねぇ、どうしたの?こけたの?」
まだあどけない顔の少年が顔をのぞき込んできた。
声も高く、きれいに響いている。
「あ~痛そうだね。ほら、僕の肩につかまって。おんぶしてあげるよ」
私は言われた通りに手を伸ばして少年の肩をつかんだ。
しかし不思議とふんわりとした感触しかなかった。
少年は私をおんぶすると家の方へ歩き出した。
「あんまりあぶないことしたらいけないよ。親にも怒られるし」
その言葉に私はくすりと笑う。
すると、なぜ笑ったのかわからないように少年は首をかしげる。
「まぁいいか。僕がそばにいればいいもんね」
少年の微笑みに私の胸が熱くなる。
この気持ちはなんだろう?
そんなことを考えていると、少年が不意に立ち止まり、一方向を指差した。
「見て」
ここは周りよりも高い位置にある場所なので、その方向を見下ろすと、下の景色がはっきりと見えてとてもきれいだった。
そして少年の顔を見るとにこりと笑っていた。
「きれいでしょう?麻耶ちゃん」
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