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司達が声のした方を見ると、そこには黒のスーツを着た男が2人と同じく黒のスーツを着た女が1人立っていた。
「てめぇら誰だ?」
仁はそう質問するも返答が返って来る事は無かった。
「その子をこちらに引き渡して貰おう」
彼等の中の体格の良い男が言う。
「嫌だ……行きたく……無い」
少女の声は消え入りそうな程小さかったが、はっきりとした拒絶の意思を示す。
「つべこべ言わずにさっさと来な!」
しかし相手の女は少女の意思はどうでもいい、と言った様子だ。
女の怒声に少女は震え上がり、仁の背に隠れ彼の手を握った。
「どうしてあんた達は彼女を連れて行こうとするんだい?」
玲穏の問いに物静かな青年が答える。
「彼女はねぇ……“魔道士”なんですよ。」
「何だって!?」
その一言に司達は驚きを隠せ無かった。
「魔道士は僕達、魔法使いに似て非なる存在。魔力により魔具を造りだし、それを扱う者達だ。しかし何故、魔道士達がそんな事を出来るのかが解らない」
「だから此処に在る研究所でそいつを研究しようって訳、だからとっとと引き渡せ!」
その言葉により仁の怒りは頂点に達した。
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