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司はまだ男を押しやっていた。
(そろそろか……)
司は一つ息を吸うと、半身の体勢から体の捻りを加えたパンチを放つ。
男がそれをクロスさせている腕で弾くと、お互いの間に距離が出来た。
「まさか、こんなに簡単に場所を変えさせて貰えると思わなかったよ」
「我々はあの子を出来るだけ無傷で連れて行かなければならない。ならば、あそこで戦うのは得策ではないからな」
「なるほど、確かにそうだ」
司はあの一瞬で冷静にその判断をくだせた男に内心舌を巻いていた。
「さて、それではいかせて貰おうか……【解放】!」
男が魔法を発動すると目に見えて筋肉が発達していく。
しかし、司は驚く事無く状況を整理していった。
(あれは…唯魔か?いや、まだ判断するには情報が少ない。仁達の援護にも行かなければならないし、敵の増援が来る可能性もある、時間はかけられないな)
司は思考の結果、短期決戦で終わらせる事に決めた。
「さぁ、かかって来い小僧」
短パン以外の全てが破れるまで筋肉が増大した所で発達は止まった。
「言われ無くたって、解ってるさ!」
(一気に決める!)
「【三重強化】〈トリプルエンハンス〉!」
更なる肉体強化をした司はまたも一直線に男へと向かって行く。
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