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そして、司は止まる事無く右足の回し蹴りにより腹部を狙う。
「易いな……」
男はそう呟くと司の蹴りを左腕でガードし、司の脚に手刀を放った。
それを司は左足を上げ、空中で一回転するように体を捻り男の手刀目掛けてパンチを放つ。
結果、男の手刀は司の脚の僅かすぐ近くに落ちた。
そこで司は男の腕を壁に跳躍し、一旦距離を取る。
(なんて堅さしてるんだ……!)
しかし、司は今の攻防の結果に驚愕していた。
何故なら彼は魔力で肉体を強化し、全力でパンチを放った。にもかかわらず、男の手刀は司の脚を僅かに外しただけとなったからだ。
「本気を出したらどうだ」
不意に男が口を開いた。
「どうしてそんな事を、敵であるあんたに言われなくちゃならないんだ?」
「それは……君が私の息子に似ているからだ」
「……」
司は警戒を解かないまま、男の話に耳を傾ける。
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