60人が本棚に入れています
本棚に追加
一方、太一は苦戦していた。
何故かと言うと、相性が悪いからである。
太一が剣を使った近接タイプであるのに対し、男は弓を使った中距離タイプで、彼は常に太一と距離を取り攻撃を行っていた。
戦闘が始まってからずっとその調子で、太一は攻撃どころか男に近付く事さえ出来ていなかった。
「そろそろ諦めたらどうですか?どうやったって君に勝ち目は無いと思いますよ」
「おいらは体力には自信が有る、まだまだ粘らせて貰うぞ。それに勝ち負けなんて最後までやってみないと解らんしのぉ!」
かなり辛い状況であるにも関わらず、太一はむしろ楽しんでいると言った様子だ。
「そうですか、しかし僕だって暇じゃ無いのでね。次で決めさせて貰います」
そう言って男は太一から離れた木の上に立ち止まる。
そして、自身の武器である弓に魔力を集中させていく。
しかしそれが放たれる事は無かった。
なぜなら、男の肩には深々と剣が刺さっていたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!