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「まだまだいくぞ!」
そして男がよろめいた隙に太一は一気に距離を詰め、肩に刺さった剣を抜きつつ男を蹴り飛ばした。
男は抵抗も出来ずそのまま木へとぶつかる。
「ぐっ……!」
しかし男は息を荒くし苦痛の表情で立ち上がると、今度は左手に剣を構える。
「先程のおぬしでは無いが……諦めたらどうじゃ、もうその体では戦えんじゃろ」
「うるさい!僕は、僕は、君みたいな子供に負けられ無いんだ!」
先程までの余裕の表情は消え、男は必死の形相で叫ぶ。
「……」
その時、太一の目は哀れな者を見る物に変わった。
「死ねぇぇぇえ!」
男は半ば狂乱の状態で太一に切りかかっていく。
そしてお互いが間合いに入った瞬間、男が剣を振るよりも速く、太一は男の顔面を殴った。
そして、太一は無言のまま男に背を向け、玲穏達のもとへと戻って行った。
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