第一章 鈴村亮太

2/5
前へ
/72ページ
次へ
1  1990年春、この日、鈴村亮太は一人、空き地でサッカーの練習をしていた。  来週、八尾中学校との練習試合があるのだ。その試合には、鈴村勇という人物がいる。彼は八尾中学校ではエースナンバーを貰っており、別チームのエースである亮太にとっては、ライバルでもあるのだ。  二人は、サッカーでも有名な高校、勝賀高校からのスポーツ推薦を狙っていた。その高校は、プロにいった選手がたくさん出てい て、亮太も、スポーツ推薦を取りたいがために、日夜、練習に励んでいる。 「将来、お父さんを楽させるために、僕はプロを目指すんだ。だから、勇には絶対、負けられない」  亮太は、なんどもなんども、サッカーボールを思いっきり、壁に向かって蹴っていた。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加