第一章 鈴村亮太

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 その亮太の様子を影から見守る人物がいた。鈴村好恵。亮太の母である。  好恵は、亮太が勝賀高校のスポーツ推薦を取るのを、一番願っている一人である。というのも、勇の母、鈴村美佐恵は、好恵の高校時代からのライバルであり、恋人を奪い合った仲でもあった。何かと目が合えば喧嘩する彼女たち を、夫たちは、目をキョロキョロさせながら、二人の喧嘩にビクビクしていた。  親も親なら子も子。好恵と美佐恵の様子を見て育ったからか、プレッシャーを重く感じているからなのか、亮太や勇の間にも、不穏の空気が流れていた。
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