蝉時雨

6/8
前へ
/37ページ
次へ
私は輝く事が出来なかった。 こうして、庭を眺めて死に想いを馳せ、亡くした友を想い、羨み、嘆く木偶の坊だ。 蝉ですら、こうして一時を輝かせようとしているのに……。 しとしと降り始めた雨の中、庭に佇む一本の木に足を向ける。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加