前編『カメラとクレイモア』

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彼女の第一印象は、 「デカい。」 の一言だった。 「そこの青年! 大変申し訳ないが、警護班の班長室にはどう行けばいいのかな? アリスの建物…“ペンタゴン”だっけ? とても広いから分からなくて…。 あ、僕は決して怪しいものじゃないよ? 一週間後の式典でカメラマンを務めさせてもらうことになったアルシド・レイベルというものです。 どうぞよろしく!」 ペンタゴンの中心、吹き抜けの植物庭園から、各門へ続く五本の廊下。 更に各班や部屋に向けて細かく広がり、別れていくわけであるが。 この植物庭園から各門へ続く廊下を、門の色にちなんで、 『黄色の路(イエローストリート)』、 『白色の路(ホワイトストリート)』、 『黒色の路(ブラックストリート)』、 『青色の路(ブルーストリート)』、 『赤色の路(レッドストリート)』、 と呼んでいる。 僕は『黒色の路』を、少々途方にくれながら歩いていた。 早い話、迷子になっていたのだ。 これだけだだっ広い建物、あちこちに案内表示はあるものの、すぐに自分の現在位置すら見失う。
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