退院

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パパの腕時計とママのネックレス……この二つは、私が二人の誕生日にそれぞれプレゼントしたものだ。 まだ、中学生の私だもの、そんな高価なものじゃない。 アルバイトも出来ないから、小遣いを貯めて……。 その時のパパとママ…すっごく喜んでたなぁ。 二人の笑顔を思い出すだけで、涙があふれてくる。 そっと涙を拭う。 今、誰かが入ってこないことを祈りながら……。 ふと、視線をドアに向ける。 ドアの向こう側に、誰かがいる……そんな気配にそっと息を呑む。 病室のドアが控えめにノックされる。 「はい……どうぞ」 そっと開いたドアの向こう側に立っていたのは、長身のパパの親友……。 秋月のおじちゃんだった。
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