序章

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何がどうなってこうなったのか、それを考える事はもうしない。 例え目の前に広がった懐かしい現代の世界が一瞬にして古めかしい木造建ての家々が建ち並ぶ幕末辺りの光景に変貌しようと、“あぁ、またなのか…”と思い自分の服装をこの世界の人達に合わせて、様々な世界を渡る内に身につけたスキルで周囲の人達に暗示をかけて「万事屋」の名を広め、さくさくと商売をし、お金を稼ぎ、宿を点々とする生活を始めた私はこういった異常事態にかなり慣れきっている。 ついでに言えば、かなりの面倒臭がりだという自覚はあるが直す気は更々無い私という人間は、異常事態に驚き原因を追求するという行為すら面倒だと一蹴してしまっている。 何故なら、追求して、その原因を見つけられた事が一度も無いからだ。 四度目に世界を渡った所で私は諦めた。追求しても解らない原因を追いつづけた所で無駄だ。体力とか気力とか諸々の。 なのでそれ以来私はこうして世界を渡った場合、先ずは収入源の確保&衣食住の確保を行い、その上で情報を集める事にしている。 そして、「万事屋」として情報屋紛いな事をしつつ分かった事に、私は初めてのケースだと顔をしかめる事となったのだった。 文久二年、弥生。 俗に言う、幕末の一年前辺りである。 .
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