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圭一は見失わないように、また見つからないように集中して後をつけていた。そして叶が物置部屋に入ったのを圭一は目撃した。
物置部屋には出口はないので用が済んだら出て来るかもしれないと思い少し待つ事にした。
…………
しかし数分待っても出て来ないのを確認した圭一は足音を立てないように慎重に物置部屋の入り口まで足を進めて中を覗き見た。
「――――!!」
そこには驚くべき存在は何もなかった。
いや、圭一は何かに驚いたのではない。
いるはずの人がいない事に驚いたのだ。
(なんでいないんだ!?)
圭一はずっと物置部屋の入り口を見ていた。その間叶の姿は確認できていない。つまり叶は物置部屋の中にいるはずだった。
本来あるはずのない出来事に圭一は驚き、困惑した。
だが圭一は思い直す。
(ひょっとしたらこの部屋のどこかに抜け道があるのかもしれない)
抜け道があったとしてもなぜそれを叶が利用するのかはまったく検討もつかなかったが圭一は抜け道を探してみる事にした。
まずは手始めに壁を叩いてみる。
返ってきたのは木を叩いた時に鳴るこぎみよい音だけであった。
圭一はあきらめずに周囲の壁を全て手で叩いていく。
だがいずれも返って来た音は同じであった。次に圭一は床を叩いていく。
結果はもちろん同じであった。
圭一は溜め息をついてこれからどうしようかと目を閉じて悩んでいる時一筋の光をみた。
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