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圭一は今まで目標としていた光がいつの間にか消えている事に気づき目を開けた。
白い大理石に包まれ傷一つない床。様々な模様が刻まれどこか異国風の雰囲気を醸し出している白い壁。そして部屋の真ん中には大きな机とそれに見合った数脚の椅子が並べられていた。いずれも白を基調としており、その雰囲気に圭一は息を呑んだ。
「ここは……どこなんだ?」
圭一の独り言は誰にも感知される事はなく部屋に溶けていく。
そもそも……と圭一は記憶を辿る。
自分は先ほどまで叶の後を追って物置部屋に来ていた筈である。そして目を閉じた際に見た光に誘われてここまで来た。
そこまで思い出しても圭一にはここがどこであるか皆目見当がつかなかった。
ただ一つわかった事はここは自分の知らない場所であり、普通ではない事が起きているという事だけである。
圭一は自分の頬をつねってみた。
「痛い……」
当然だ。
だけどこの行動によって圭一はこれが夢ではないとはっきりと認識した。
圭一はすぐに行動に出た。机に近づきここがどこであるかを把握しようと勤めた。
圭一にとって今起きている出来事は確かに不可解な事であった。
だが圭一は今起きている出来事をこういうものなのだと割り切る事が出来ていた。それは圭一が今まで経験してきた不思議な出来事のおかげかもしれないし、圭一自身の気質であるのかもしれない。
とにかく圭一はこの出来事をしっかりと認識していて後は納得させる材料を探しているのだ。
机の上には数枚の紙が置かれていた。
圭一はそこに何かこの場所のヒントになるものが隠されているのかもしれないと一枚の紙を手にとった。
圭一はそこにかかれて目に入った一文を読んで驚愕した。
「雛見沢の住民を根絶やしにする……だって!?」
圭一は自分の勘違いである事を願いつつ。さらに読み進めようとした時であった。
背後に気配を感じた。
圭一は恐る恐る振り返った。
そこには物置部屋に入って以来姿を消していた悲しげな表情を浮かべた叶がいた……。
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