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叶の要求を断れば死ぬ。そう思わせる程の殺気が叶から放たれているのだ。
だけど圭一は足の震えを抑えながら言う。
「答えは……変わらないぜ。俺の仲間に危険が及ぶってんなら俺はそれを見過ごしたりはしない」
「残念だよ圭一君」
そう言った後叶の腕に何かが集まり出していく。圭一は危険を感じて逃げようとしたが足の震えが止まらなかった。
徐々に形を作り出していた何かが完成した。それは剣。ただの剣ではない。その剣からは溢れんばかりの光が溢れており、神々しさを纏わせている。
叶はそれを当然のように構えて圭一に向けて走り出した。
圭一は目を閉じて自分の運命を受け入れた。
今までの出来事が走馬灯のように駆け抜けていく。
みんなは……自分が死んだ後どう思うのだろう。悲しんでくれるだろうか?
きっと悲しんでくれるだろう。
そしてどうすれば救えたのかと嘆くのだ。
後悔が圭一の頭をよぎる。
もし自分が転校生の後をつけようと思わなかったなら……
もし自分があの光の先を追いかけようとしなかったなら……
だけどもう全てが手遅れだった。
圭一の運命はもう全てが決定づけられている。
圭一はそれを後悔を抱えながら受け入れて目を閉じていた。
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