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「知恵先生遅いね」
夏休みが終わって最初の登校日、なかなかやって来ない知恵を心配してかレナが呟いた。
「そうだな。いつも遅刻なんてしない知恵先生だけにちょっと心配だな」
返事をしたのは圭一。彼が雛見沢に引っ越して来たのは3ヶ月ほど前だが、圭一にもまた知恵は几帳面で遅刻などしない人物だと映っていた。
「クックック」
魅音が笑った。その表情はまるで自分だけが事の真相を分かっているかのような顔であった。
「魅ぃちゃんは何か知ってるのかな?かな?」
そんな魅音の表情をいち早く見抜いたレナが尋ねる。
「あったり前じゃん! おじさんの情報網を舐めちゃいけないよ。おじさんは雛見沢のありとあらゆる情報を知ってるんだからね」
「魅音の情報網は認めているから早く話してほしいわ」
梨花はあの事件以来猫をかぶるのを止めていた。元々梨花にとって猫かぶりは逃げでしかなかった。百年間生きてきた事を隠すための仮面だった。だけど梨花は部活メンバーに全てを話して理解してもらった。それはとても信じられる話ではなかったけれど部活メンバーのみんなが信じた。
『仲間』だから。部活メンバーにとっては梨花も大切な仲間の一員なのだ。部活メンバーは仲間を信じる。だからその梨花の話を部活メンバーが信じたのはある意味当然と言えた。
仲間に理解してもらった梨花は今さらごまかす必要はない。梨花が猫かぶりを止めるのも自然な流れだった。
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