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だが転校生も緊張しているのかなかなか返事をしない。見かねた圭一がきっかけを作る。
「三人ともどこから来たんだ? 見た所三人ともお互い知り合いみたいだけど」
「私たちはね……」
「……よせよ叶」
返事をしようとした叶に空が注意を促す。
「――でも!」
「私たちの目的を忘れたの叶?」
「……ッ!」
葵の言葉に何かを思い出した叶は返す言葉を無くし俯いた。
「おい、どうし……」
「私たちに話しかけないで。私たちはあなた達を認めないわ、絶対に」
心配した圭一の言葉を葵は拒絶した。まるで一切の交流を拒む監獄のように……そこには深い溝が存在していた。
圭一は必死に込み上げる衝動を抑えながらも言葉を紡ぐ。
「なあ? 俺達お前らになんかしちまったのか? 悪いけど俺には心当たりがないんだ。何かあるんだったら教えてくれ」
それは圭一の心からの声だった。圭一は雛見沢に来てからは持ち前の明るさと口先を開花させ、雛見沢でかけがえのない仲間を作っていた。だからこそ今回も年が近い三人とも仲良くなれると思っていた。
なのにかけた言葉に返って来たのは拒絶の言葉。向こうはこちらが話す前から心を閉ざしてしまっていた。圭一はその理由がわからず戸惑っていた。
「自分の胸に聞いてみるといいわ。もっとも今さら謝っても手遅れだけどね」
そう言って葵はドリルを無造作にカバンに詰めこみ、教室を出て行く。空もその後ろについていき、叶も戸惑いながらもその後ろを追う。叶は教室を出る前に「ごめんなさい」と頭を下げながら言った後、踵を返して教室の外へと足を踏み出していった。
知恵が慌てて飛び出していった教室には重い雰囲気が立ち込めていた。
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