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「ねえ、シルファ?」
「…えっ?」
物思いに耽っていたシルファに、シェイラが唐突に声をかける。
「…その手紙、また弟…から?」
「え?あ、うん、そう…。」
「…なんで、サクヤに届くの?」
「…っ。それは…、その…。」
「なーんか…、隠してること多いのよね、シルファは。」
口ごもったシルファに、少し皮肉っぽくシェイラは言う。
シルファはますます俯いて、困った顔をする。
「別に、無理に話せとは言わないけど。…なんていうか、癪なのよね。」
「…え?」
「サクヤは知ってるんでしょ?」
「…。」
「そりゃ、サクヤは口も堅いだろうし。頼りになるだろうけど。
それに比べて、あたしはこうだもんね。」
「あ、えと、違うのっ。そういうことじゃなくて…っ。」
「あー、いいのいいの。ごめん、気にしないで。」
「シェイラっ。」
「あー、あたし、ちょっと散歩行って来よう。うん。じゃっ。」
「シェイラっ。」
その声を断ち切るように、ドアは二人を隔てて閉じた。
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