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アイスティーを一口飲む。
喉元を過ぎる冷たさに、心が落ち着いていく。
それを見越してか、サクヤは低い声で言った。
「…迷惑ってのは、俺の考えだ。だから、気にすんな。」
「え?」
「…シルファがそう言ったわけじゃない。
けど、俺がアイツなら、関わって欲しくないと思う。そういう意味だ。」
「そ…う。」
一応、気遣ってくれているらしい。
それもなんだか意外だ。
「それに、俺も…直接訊いたわけじゃないから。」
「え?」
「細かい事情まで知ってるわけじゃない。
ただ、話の端々を拾えば、なんとなくわかるとこもあったし。
アイツを引きとったヤツのことも…少しは知ってるからな。」
「…そうなの?」
「ああ。だから、別に、お前にだけ話して無いわけじゃない。
アイツは、誰にも…話して無い。」
「…っ。あ…。」
その言葉に、自分の発言を思い出して恥ずかしくなる。
『…あたしには話してくれないのに…っ。』
サクヤは、シルファの抱える事情を全て知っているのだと思いこんでいた。
サクヤのシルファへの態度は、明らかに他の人間に対するそれとはまったく違っていたから。
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