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「じゃ…あ、だって、手紙は…?」
「それぐらい、断る理由も別に無いだろ。
俺宛ての手紙の中に弟の手紙が入ってたら、それをアイツに渡す。それだけのことだ。」
「…。」
何も言えない。
全て自分の空回りだ。
恥ずかしさで居たたまれない。
シェイラは拗ねたように口をとがらせて、顔を背けた。
その様子を、数秒眺めたサクヤは、右手を口元に寄せると、ふぅー…っと息を吹きかけた。
そこに、ゆらゆらと白い靄が現れ、何かを形作っていく。
現れたのは、小さな鳥だった。
氷の造形のように白みがかった透明で、目だけがサクヤと同じ藍色だ。
サクヤはそれに何か囁くと、鳥は翼を広げて空へ舞い上がった。
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