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「今の…。」
シェイラは、ぽかんと鳥の飛んで行った空を見上げる。
「ホントは、もっと小っさくしてんだけど。
それなりに魔力使うし、その量凝縮すんのって、けっこう集中力いるんだよな。」
「あ…、アンタ、もうあんなことできるのっ?」
魔力そのものを具現化させて、連絡手段などに使うのは、講師をしている大人の魔道士達がよくやっている。
人によってその形はさまざまだが、魔力を凝縮させ、遠隔操作することは、それなりの集中力と技量がいる。
上級生には使える者も見かけるが、同期入学の中ではまだ見たことがなかった。
シェイラ自身も、はっきり言えば苦手だ。
上手くコツがつかめない。
驚いている間に、ザァ…っと少し強い風が吹いて、木々が揺れる。
サクヤはその様子に視線を向けて、ぼそっと呟いた。
「早かったな。」
それとほぼ同時に、
「シェイラっ!」
シルファが駆け寄ってきた。
シェイラが口を開く間も無く、その細い腕に抱きしめられた。
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