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「シルファ…。」
「ごめんねっ。」
先に言われた…。
「ごめんね、シェイラっ。」
シルファは、花のような香りがする。
優しくて、甘い。
春風の匂い。
不思議と、心が凪いでいく。
以前は、苛立ってばかりいた。
シェイラが魔力を持っているとわかった時から、周りの態度は一変した。
それまでは普通に親しかった友人達も、シェイラが魔道士学校へ入るとわかると、最初は興味津々に目を輝かせて、あれこれ訊いてきた。
遠縁の親戚に魔道士がいるというのは、聞いたことがあった。
それも、もうかなり老齢で、引退どころか、もう生きているのかどうかすらシェイラは知らない。
会ったことすらない。
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