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けれど、一人だけ…特別な存在がいた。
幼い頃から魔力を発揮し、ある程度使える者は“特例枠”として、15歳に達していなくとも入学を許される。
その特権を得ながらも、結局15歳まで入学を見送ったらしい。
サクヤ=リオル
青みかかった黒髪に、藍色の瞳の、端正な顔立ちをした男。
自然と目がいく存在だった。
あまり表情は無く、淡々と与えられた課題をこなしていく。
誰に対しても変わらない態度で、打ち解ける様子も無い。
なのに…。
そんな彼が、唯一笑顔を見せる相手がいると知った。
シルファ=リード。
赤茶色の長い髪に、オリーブ色の瞳。
サクヤとはまるで正反対に、表情豊かで可愛く笑う。
仏頂面の男の横で、なぜあんなふうに笑っているのか不思議なほどだった。
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