32958人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたし、火属性だから…。でも、綺麗なんて、誰が言ってたの?」
「サクヤが。あ、えっと、サクヤっていうのは…。」
「知ってる。彼氏でしょ?」
「えっ?違いますよっ?」
「は?」
「サクヤは友達ですっ。えと、多分…?」
自分で言っておいて、首をかしげる。
「多分?」
ビミョーな関係てこと?
「私は、友達だと思ってるんですけど。
サクヤは、いつも私のこと鈍くさいとか、不器用とか、意地悪なこと言うから。
あ、根は優しいんですっ。多分。」
それって…?
「ま、いいや。で、そのサクヤが…、ホントにあたしの魔法、綺麗って言ったの?」
イマイチ、信じられない。
「サクヤは、同期の人は全員把握してて。属性とか、得意な魔法とか。
シェイラさんと同室になるって話したら、“あの火の魔法上手いヤツか”って。」
「上手いと綺麗はイコールじゃないでしょ。」
それに、自分の属性なら、得意なのは当たり前だ。
「火花が金色で、花火みたいだったって。」
にっこりと笑う。
なんだか一気に毒気を抜かれた気分だ。
…やっぱり、“綺麗”とは言って無いじゃない。
そのやりとりで、シルファ=リードを少しだけ理解した。
素直に人を受け入れる。
素直に人と向き合う。
一切の悪意も、打算も見えない。
でもって軽く天然。
そこがまた可愛い。
サクヤが、彼女に惹かれる理由が嫌と言うほどわかる。
最初のコメントを投稿しよう!