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白猫
「アレス先生っ。」
「よお。元気にしてたか?」
外出許可が通り、バカでかい門を出ると、そこには赤毛の男が待っていた。
かつてのサクヤの担任教師、アレス=フォートである。
「アレス先生が迎えに来てくださったんですか?」
「ああ、アンジェラが来るって言ってたんだけどな…。その、ちょっと…な。」
がしがしと頭を掻きながら、アレスは口篭る。
心なしか顔が赤く見える。
「何かあったんですか?」
「…その、まあ、ちょっと、無理させたくないっていうか。」
「え?もしかして、怪我とかっ?」
「いやっ。そういうんじゃない。アイツは元気。うん。すーげえ元気。」
不思議そうに首をかしげるシルファに、アレスは困ったような苦笑いを浮かべ、観念したかのように答えた。
「…その…、できたんだよ。」
「え?」
「…子供?」
カリカリと鼻の頭を掻く。
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