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声を上げた彼は、オッド・アイの彼女を見て不思議そうに首を傾げた。
「これは…」
「ふむ。」
僕は顎に手を当てて、猫を譲ってもらった時の事を思い出していた。
「君も、探しに行くのかい?」
「探す、訳ではないのですがね。気になって。何故、それを?」
「君は、黒猫に逢ったろう。そして、恋人の影を見たろう。」
「………」
「探しても、無駄だね」
「何故?」
「それは、こいつだからさね。もう、逢えないが君になら懐くだろう。愛しい、君になら。」
「?」
「持っておゆき。お代は要らないよ。」
そっと風呂敷に包み、硝子の猫を彼に持たせた。
不思議そうに首を傾げた彼も、頭を下げるとすぐに旅立った。
「さて、今日は店じまいだな」
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