第1章 不動の卵

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「これの正体を知る者はいない。 ドラゴンの卵によく似ているが、微妙に異なる。 そして、もう30年間孵化しないままだ」 僕は目を見開いてサイカ様を振り返る。 師匠は、ゆっくりと勿体振るようにうなずいた。 若い容姿に威厳を保つための口髭が、微かにその均衡を崩す。 「それじゃあ、これは……」 「そう。 不動の卵だ」
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