16人が本棚に入れています
本棚に追加
「さむっ!さむっ!」
そういってブーツを脱ぎ捨てるとサッサと部屋の奥にはいっていく女
「ちょちょちょ!!勝手に入るな!」
「おお~~さむっ!」
リビングのこたつのスイッチをいれて、肩まで沈み込むと顔だけをちょこんと出して俺を見上げた
「自分の家じゃないんだから、ちょっとくらい遠慮したら?」
「だって、体が冷え切って……」
「あの…で、なんで俺の部屋の前でずっと?」
いつまでも居座られても困るので、早急に用件を聞き出す作戦
何かのセールスならすぐさま追い出す!!
「人肌のあたたかさのミルクがのみたい」
俺の話なんてまるできいてない風で、飲み物のおもてなしを求める女
「図々しい」
「だって、体の芯からあたためないと」
「だったらアツアツのミルクにしたらどーっすかね」
「だって、猫舌だもん」
はああぁぁ~~
初対面の男相手に、はじめて入る部屋で、このマイペースっぷり
盛大にため息をつくと、マグカップに牛乳を注いだ
電子レンジがオレンジの温かい色を放って、中のトレイがくるくる回っている
人肌のあたたかさねえ……
チン!!!
マグカップを手で握って温度を確かめながら女を見ると、俺のケータイについているまるっこいストラップをグーにした手で転がしながらニヤニヤ笑っていた
何やってんだ………
.
最初のコメントを投稿しよう!