Luna

6/11
前へ
/12ページ
次へ
「そろそろ、ここに来た理由を教えてほしいんだけど」 痺れをきらしてといかけると、月子は見ていた本を机に伏せて置いた その表紙の文字に目を走らせる 高校生の頃に買った天文学書………… 「前に助けてもらったお礼にやってきました」 敬礼ポーズで首をかしげてこちらを見る姿は…少しかわいい でも…… 「人違いだろ」 「覚えてない? ……寒くてね……、公園で一人で 黒い影に怯えながら小さくなってたら…… 悠太が助けてくれたの」 ……なんで俺の名前知ってんだ 「記憶にないけど」 「その日からずっと、アタシのヒーローなんだ」 「ヒーローねえ……」 いや、人違いだけどね 「助けてくれた悠太、すっごくかっこよかったんだもん」 月子は思い出すように遠い目をした後、俺をじっとみつめた そして更に続ける 「ぎゅうって抱きしめてくれたの、今でもよく覚えてるよ」 ……妄想癖か?? やっぱりあぶない女か?? 刺激せんとこ…… 「………はいはい」 ふふって笑うと猫ッ毛の黒髪がふわふわ揺れた 「お礼って、何するつもりだったわけ?」 「何がいい??」 そういうと、彼女は俺に近寄ってくると、体をすりすりと寄せてきた .
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加