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「そろそろ、ここに来た理由を教えてほしいんだけど」
痺れをきらしてといかけると、月子は見ていた本を机に伏せて置いた
その表紙の文字に目を走らせる
高校生の頃に買った天文学書…………
「前に助けてもらったお礼にやってきました」
敬礼ポーズで首をかしげてこちらを見る姿は…少しかわいい
でも……
「人違いだろ」
「覚えてない?
……寒くてね……、公園で一人で
黒い影に怯えながら小さくなってたら……
悠太が助けてくれたの」
……なんで俺の名前知ってんだ
「記憶にないけど」
「その日からずっと、アタシのヒーローなんだ」
「ヒーローねえ……」
いや、人違いだけどね
「助けてくれた悠太、すっごくかっこよかったんだもん」
月子は思い出すように遠い目をした後、俺をじっとみつめた
そして更に続ける
「ぎゅうって抱きしめてくれたの、今でもよく覚えてるよ」
……妄想癖か??
やっぱりあぶない女か??
刺激せんとこ……
「………はいはい」
ふふって笑うと猫ッ毛の黒髪がふわふわ揺れた
「お礼って、何するつもりだったわけ?」
「何がいい??」
そういうと、彼女は俺に近寄ってくると、体をすりすりと寄せてきた
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