序章

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瞳孔が開ききった、恐ろしい瞳。 そのはずなのに、あろうことか翡翠はそれに向かい足を進め始める。 恐ろしい瞳。 だが、単純に惹かれていた。 けして人間のものとは言えぬ、まるで血のようにさえ見える瞳が、歩む度にどんどん近づく。 ドクン ドクン…ッ 嫌に鼓動が高くなる。 だがそれは恐れの感情ではなく、むしろ逆の愛情さえ感じられる。 しかし翡翠は感じていた。 けして自分の心がそうしているのではないと。 確かに、自分の中に誰かの存在を感じていた。 それが、赤い瞳を求めている――。 .
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