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瞳孔が開ききった、恐ろしい瞳。
そのはずなのに、あろうことか翡翠はそれに向かい足を進め始める。
恐ろしい瞳。
だが、単純に惹かれていた。
けして人間のものとは言えぬ、まるで血のようにさえ見える瞳が、歩む度にどんどん近づく。
ドクン
ドクン…ッ
嫌に鼓動が高くなる。
だがそれは恐れの感情ではなく、むしろ逆の愛情さえ感じられる。
しかし翡翠は感じていた。
けして自分の心がそうしているのではないと。
確かに、自分の中に誰かの存在を感じていた。
それが、赤い瞳を求めている――。
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