序章

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「お前は俺の性分ってのを  わかってんだな」 「え?」 驚き、翡翠を見るが、彼は相変わらずもくもくと朝食を食べている。 二度は言わん、ということだろう。 「…別に、わかってる  わけじゃねーよ。  ただ、そーかもなって…さ。  感ってやつ?」 視線をあげ、魁璃を見やる。 「…気のせいか。  俺も少々馬鹿になった」 再び目線を下げ、一度だけ口の端を吊り上げると、翡翠は無表情になりみそ汁を啜る。 「てめ…っ」 「飯くらい黙ってろ」 有無を言わさない制圧に、魁璃は渋々背を正す。 冬児じゃないけど、と魁璃は思う。 ――掴みどこないよなー… でも、と控えめに翡翠を見る。 この男はとても綺麗だ――…。 .
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