1368人が本棚に入れています
本棚に追加
/600ページ
「おや。今日は早いですね」
「冬児(とうじ)…」
翡翠が顔を向けると、茶髪が混じった短めの髪と、茶色のやさしげな光りを湛えた瞳を持つ青年が立っていた。
彼の名前は、冬児である。
「…眠れませんでしたか?」
「あ?
何でだ?」
睨むような眼光を向けるが、それでも冬児は笑いながら答える。
「汗、びっしょりですから」
「…別に。
夢見が悪かっただけだ…」
ばつが悪そうにすっかり明るくなった空を見上げた。
.
最初のコメントを投稿しよう!