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「斎艶様は……」
呟くようなか弱い声。
油断したら聞き逃してしまいそうだ。
「とてもやさしくて、
慈悲深くて、綺麗で、
神聖なお方です。
……あなたはよく
似ている……」
真っ直ぐに見つめられる漆黒から目が離せない。
――…似ている?
そんなことはない。
自分はけして慈悲深くなどない。両手は罪に汚れている。
人間を手にかけたことだってある。
神聖なわけがない。
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