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翡翠は目を細める。
この無垢なほどの漆黒は、正直苦手かもしれない。
だが、嫌いではない。
むしろきっと逆だ。
その瞳は、いつでも自分を映すのだろう。
清く、愛情に似た光をたたえたまま。
『俺のものだ』
唐突に思った。
しかし、翡翠はまるで自分を嘲笑うかのように口を歪める。
――何を、らしくもない……
くるりと踵を返し、御所内へと足を踏み入れる。
「…来い。
目立ったことはするなよ」
「承知しております」
2つの影が、門へと消えた。
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