序章

9/16
前へ
/600ページ
次へ
冬児が食堂へ向かうと、並べられたお盆の前に人が座っていた。 「おや、魁璃(かいり)。  おはようございます。  早かったですね」 「おー。おはよう」 魁璃と呼ばれた青年はゆっくりと顔をあげ、挨拶を返した。 サラサラとした青みかかった黒髪。 その瞳も黒く、そして深い。 少しだけ日に焼けた肌はなにより健康そうに見えるが、今は起きて間もないらしく、眠そうにとろんとしている。 「翡翠は?」 「えぇ。起きてるんですけど、  夢見悪かったらしくて…」 半ば呆れつつ、冬児はお椀にご飯をよそっていく。 .
/600ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1367人が本棚に入れています
本棚に追加