6人が本棚に入れています
本棚に追加
これを
突然、彼女は私に朱色の勾玉のネックレスを渡したのです。
予感がしました。
幸福は続かない
幸せな時は戻らない
彼女とは、二度と会うことはない
一期一会なんてくそくらえだ
そのとおり
暗雲が垂れこめ、車内の明かりが明滅し、
そして明かりは消えました。
そのとき、
窓が突然あき、雨風が車内に吹き込みました。
彼女のちいさな声が聞こえた気がきましたが、
猿の甲高い叫び声と鳥の羽ばたく音も聞こえた気もしました。
私は、暗闇の中で、焦り必死に窓を閉めたのです。
やがて、明かりがつきました。
しかし、そのときには彼女の姿はなかったのでした。
私は、
彼女の名前さえも聞いていなかったのに
私は…自分の首に下がった朱色の勾玉を見つめ、次の客車へと向かいました。
最初のコメントを投稿しよう!