動き始める風車

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屋上に出ると、この町が良く見えた。 シーツなども干してあって、いかにも病院の屋上って感じだ。 俺は…これからどうすればいいんだろう。 「はぁ…なんでなんだろ」 コツコツ。 誰かいるのか?ナースの人がシーツを取りにきたのか? 「ねぇ…君。どうして悲しそうな顔をしてるの?」 声の方を向くと少女が立っていた。 腰まで伸びた黒髪に色白の肌、何でも包み込むような優しい目。 現実の人ではないような気がした。 「俺は……い、色々あるんだよ。それより、君は?入院患者だよね?」 「ふふっ。良くわかったね。私が入院患者だって」 「いや、わかるって。服装を見れば」 彼女は俺と同じく、入院患者が着る白い服を着ている。 もしこれで入院患者じゃなければ服のセンスを疑う。
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