失われたもの

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「うぇ~ん。良かったょ~。もう2度と目を開けてくれないかと思ったよ。」 「桜。泣くなよ。俺は大丈夫だから」 そう言い妹の桜の、肩まである髪を優しく撫でてやる。 「だって、三日間も眠りっぱなしだったんだよ!心配するよ」 桜は本当に心配してくれていたみたいだ。その後も、大丈夫だと言っているのにしばらく泣き止まなかった。 「…あのね、お兄ちゃん。お兄ちゃんは、もう走ったりすることが出来ないんだって、お医者さんが言ってた」 何を桜は言ってるんだ?もう走ることが出来ないって?じゃあ、サッカーが二度と出来ないのか? 「どういう意味だよ…桜」 「事故にあったせいで、激しい運動が出来ないんだって…」 そう言った桜は俺よりも辛そうな顔をしていた。
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